2022年5月11日水曜日

十勝三股の黒曜石の話

 十勝北部の鹿追町然別湖周辺から上士幌町ぬかびら源泉郷や三股周辺は、静かな山間の観光地です。しかし、実は火山が集まっている場所でもあります。現在でも、ぬかびら源泉郷の西北西にある丸山からは、ガスが噴き出しています。その地帯は丸山噴泉塔群と呼ばれています。※噴泉塔とは地表から噴出した温泉に含まれる炭酸カルシウムが沈殿し、固まったドーム状の「石灰華」のことです。

 およそ200万年前、三股周辺ではげしい火山活動があり、水分を多く含んだマグマが噴出しました。このマグマが急速に冷やされ、固まってできたのが黒曜石です。黒曜石は黒いガラス状ですが、中には赤っぽい色を含んでいたり、稀に光に当てるとカラフルに輝く玲瓏(れいろう)と呼ばれているものもあります。

 割ると非常に鋭い破断面(貝殻状断口)を示すことから先史時代より世界各地でナイフや鏃(やじり)、槍の穂先などの石器として長く使用されました。